ダナン市には、集客力のある映画祭、広がりつつある国際的なネットワーク、観客の支持、市当局と職能団体の連携という、極めて良好な出発条件が整っています。ただし、その成功は、ダナン市にすでに完成された映画産業があることを意味するものではありません。

10月2日、ダナン市人民委員会は、文化産業の発展に関する党と国家の方針を具体化するとともに、文化産業を市の主要な経済分野の一つに育てるため、「ダナン市文化産業発展促進会議」を開催しました。
ダナン市は、発展の空間を広げる中、豊かな文化遺産群、豊富な観光の潜在力、創造活動を支える資源、科学技術面の強みを有しています。同市は、文化資源や文化分野の力を効果的に活用し、付加価値の高い製品・サービスを生み出し、新たな発展の原動力をつくるために、文化産業の発展を重要な方向性と位置付けています。
同市は、舞台芸術、映画、美術・展示、文化観光、デジタルコンテンツ、手工芸の6分野を重点文化産業として育成する方針です。これらは、市の潜在力と強みを土台として具体的な商品を生み出すことができ、市場があり、長期的な成長が期待できる分野です。
会議で意見を述べたベトナム映画振興発展協会会長で、ダナン・アジア映画祭ディレクターのゴー・フオン・ラン氏は、ダナン市には、これまでのダナン・アジア映画祭(DANAFF)の成功を基に、映画産業を発展させる十分な機会があると指摘しました。
DANAFFは、ベトナム映画振興発展協会とダナン市が、国際性を志向する毎年開催の映画祭をつくることを選択した2023年に誕生しました。4回の開催を通じて、作品選考の質、ベトナムとアジアの映画が対話する場、一般向けのプログラム、専門家のネットワークを徐々に確立してきました。最も注目すべき発展は、規模の拡大だけでなく、機能の拡大です。映画を上映し、賞を授与する場から、企画を育て、人材を養成し、市場につなぐ場へと変化してきました。
2026年の第4回DANAFFは、30の国・地域から100本を超える映画を紹介し、200回近い上映を行いました。300人を超える海外からの代表者を含め、1,000人を超える代表者や招待客と、数万人の観客を集めました。ゴー・フオン・ラン氏によると、これらの数字は、ダナン市が多様な参加者を迎え入れ、国際映画イベントを運営する力をすでに備えていることを示しています。しかし、映画産業にとっての価値は、さらに深いところにある、蓄積された3種類の資産にあります。それは、DANAFFブランドの信用、映画企画を決定するプロデューサーや映画制作者との直接的な関係、映画祭を担うチームが培った運営経験です。
ゴー・フオン・ラン氏は、信用は単発の宣伝キャンペーンで得ることが極めて難しいものだと述べました。映画制作者はプログラムの質にひかれて訪れ、その出会いが仕事上の価値をもたらすからこそ再訪します。プロデューサー、配給会社、専門家、芸術家に毎年ダナン市を再訪する理由ができたとき、同市は、大都市が築こうとしてもまだ得られていない、つながりへの玄関口をすでに手にしていることになります。次の課題は、その「玄関口」をどのように活用するかということです。
DANAFFは、何よりもまず優れた映画祭でなければなりません。作品の質、選考、専門的な議論、賞が、映画関係者の信頼を生み出します。ベトナムとアジアの映画プログラムは、作品を国際的な対話の中に位置付け、ベトナム映画が配給会社、映画祭のプログラム、新たなパートナーに接近する助けとなります。同時に、毎回約200回の上映と数万人の観客の支持は、ダナン市で多様な映画を楽しみたいという需要が、現在公開されている商業映画だけに限られていないことを示しています。
ゴー・フオン・ラン氏によると、この成果を基に、同市は年間を通じた観客市場を育てることができます。テーマ別の映画週間、学校や公共空間での上映、映画制作者との交流、映画愛好家のクラブ、青少年や学生向けのプログラムなどです。「DANAFF's Cinephiles」は、すでにその方向性を示しています。これは単なる普及活動ではありません。知識を持ち、映画鑑賞の習慣がある観客のコミュニティーは、映画館、配給会社、イベント運営サービス、メディア、芸術教育への需要を生み出します。また、観光都市にとって、地元住民が実際に参加する文化商品を増やすことにもつながります。
効果を確認するには、DANAFFで配布したチケットの枚数だけでなく、映画祭後も継続される映画関連活動の数や、学校、企業、地元の観客の参加状況も追跡する必要があります。1週間の観客数は好ましい兆しですが、市場の基盤となるのは、12か月を通して活動する映画鑑賞コミュニティーです。
ダナン市にとっての利点は、国際映画祭に市の名前が冠されることだけではありません。それぞれの研修は、中部地域の若者が、多くの国の専門家、プロデューサー、同業者と一緒に仕事をする機会を生み出します。ここで育てられる一つ一つの企画が、ダナン市を、撮影隊が撮影に訪れるだけの場所ではなく、創造の過程を担う拠点へと少しずつ変えていきます。
今後の構想について、ゴー・フオン・ラン氏は、2026年に初めて開催された「DANAFF Industry Days」が重要な節目になったと述べました。このプログラムでは、ベトナムの映画制作会社10社が、10を超える国・地域から来た20を超える海外の配給事業者と面会しました。1対1の面談や市場をめぐる情報交換、配給に関する対話がダナン市で行われることで、同市は単に映画祭の来場者を迎える場所ではなく、映画業界の商談が行われる場所となりました。
「次回のDANAFFから、開催日数とプログラムの規模の両面をさらに拡大し、Industry DaysをIndustry Connectへと発展させる予定です」とゴー・フオン・ラン氏は述べました。
ゴー・フオン・ラン氏によると、ダナン市には海、川、市街地、山、文化遺産の空間があり、近隣地域とのつながりもあります。宿泊、輸送、会議、技術のインフラと合わせて、これらは確かな強みです。DANAFFは海外の映画制作者を現地に招き、街を直接体感してもらう機会を提供します。しかし、美しい場所というだけではロケ地に選ばれるには不十分です。製作の判断は、手続きの処理時間、供給事業者の信頼性、人材、費用、安全性、問題が発生した際の連携能力に左右されます。
そのため、ゴー・フオン・ラン氏は、調整に関する権限が明確な、撮影隊を支援する一元的な窓口を設けることが実践的な一歩だとしています。その組織は「ダナン市映画振興発展協会」と呼ぶことも考えられます。ベトナム映画振興発展協会の加盟組織として、映画、文化行政、観光などに関わる機関や組織の代表者が参加する形です。この窓口は、美しい風景のリストを作るだけでなく、ロケ地、所有者、立ち入りの条件、撮影上の要件、人材、機材、サービスについて、2言語で情報を提供する必要があります。また、撮影隊のロケハン、許可申請、交通整理、文化遺産や環境の保護について、部門横断的な手続きを整える必要もあります。プロデューサーは厳格な手続きを受け入れることができます。受け入れ難いのは、どこから始めればよいのか、どれだけの時間がかかるのか分からないことです。現在、ベトナム映画振興発展協会は、この活動に直接関わる撮影隊誘致指標体系(PAI)の導入を積極的に進めています。
「適切な次の発展段階は、その枠組みを、DANAFFを中核とする映画産業の協力プログラムとして具体化することです。これは、すべての活動を映画祭の開催週に行うという意味ではありません。DANAFFは毎年の成果を紹介し、関係者を結び付け、成果を検証する場です。研修、企画開発、撮影隊の支援、市場形成といった仕事の大部分は、DANAFFの開催と次の開催の間に進めなければなりません。現在協議されている拡充版の覚書(MOU)は、双方が内容、責任、連携の方法についてさらに合意するための基盤になり得ます」とゴー・フオン・ラン氏は強調しました。
4回のDANAFFを経て、ダナン市には、集客力のある映画祭、広がりつつある国際的なネットワーク、観客の支持、市当局と職能団体の連携という、極めて良好な出発条件が整っています。ただし、その成功は、ダナン市にすでに完成された映画産業があることを意味するものではありません。それでも、映画産業を築くための実現可能な道筋を同市に示しています。質の高い映画プログラムから観客へ、研修から企画へ、出会いから契約へ、そして訪問先での体験から製作の決定と地元サービスの利用へとつなげる道筋です。
「DANAFFが開催されるたびに、この4つのつながりのすべてで一歩前進できれば、映画祭は1週間から10日間だけダナン市に映画をもたらすイベントにはとどまりません。DANAFFは、映画の仕事や創作が行われ、価値が生み出される場として、ダナン市が年間を通じて機能することに貢献します。これは、私たちが今手にしている機会であり、同時に、今この時から具体的な取り組みによって果たすべき責任でもあります」とゴー・フオン・ラン氏は強調しました。