ベトナム・ニュージーランド共同声明 トー・ラム書記長兼国家主席の国賓訪問に際して

トー・ラム・ベトナム共産党書記長兼国家主席が2026年8月12日から13日までニュージーランドを国賓訪問したことを機に、両国は共同声明を発表しました。全文は以下の通りです。

1. ニュージーランドのデイム・シンディ・キロ総督の招待を受け、トー・ラム・ベトナム共産党中央委員会書記長兼ベトナム社会主義共和国国家主席は、2026年8月12日から13日までニュージーランドを国賓訪問しました。訪問中、トー・ラム書記長兼国家主席は、デイム・シンディ・キロ総督と会見し、クリストファー・ラクソン首相と会談し、ジェリー・ブラウンリー国会議長と会見しました。また、高等教育・職業教育フォーラムおよび企業円卓会議に出席し、演説しました。

包括的戦略的パートナーシップ関係の強化

2. トー・ラム書記長兼国家主席とラクソン首相は、両国が2025年に関係を包括的戦略的パートナーシップへ格上げして以来、二国間関係において達成された成果を振り返りました。両国は、ベトナム・ニュージーランド関係の堅固な基盤を改めて確認するとともに、ルールに基づく体制の強化に貢献するため、ハイレベルの政治交流を維持し、多国間フォーラムにおける連携を強化することで一致しました。

貿易と経済統合

3. 貿易協力と経済統合は、包括的戦略的パートナーシップを推進する原動力です。両国首脳は、科学、技術、イノベーションが両国経済に果たす役割を確認するとともに、ベトナムの新たな発展段階において協力を強化することで一致しました。両国はまた、自由貿易協定が企業と消費者にもたらす効果を高めるため、標準策定、貿易円滑化、非関税障壁の撤廃における協力を促進することを約束しました。

4. 従来からの協力を急速な技術発展に適応させる必要性を認識し、両国は、技術基盤型経済、グリーン経済、海洋経済における新たな機会を模索することで一致しました。トー・ラム書記長兼国家主席は、多くの企業経営者と円卓会議を行い、イノベーションを重点として、幅広い分野における貿易・研究協力の機会について意見を交わしました。

5. 両国は、地域経済統合を促進する決意を改めて確認しました。また、自由で開かれ、包摂的かつルールに基づく多国間貿易体制を一貫して支持するとともに、経済の強靱性を高めるため、貿易分野における革新的な取り組みを模索することを約束しました。両国は、環太平洋パートナーシップに関する包括的及び先進的な協定(CPTPP)、地域的な包括的経済連携協定(RCEP)、および改定されたASEAN・オーストラリア・ニュージーランド自由貿易協定(AANZFTA)を最大限に活用するとの約束を改めて確認しました。

6. 両国は、早期に貿易上の利益をもたらすことを目的として、ニュージーランド産のハチミツ、シカおよびアカシカの肉、ならびにベトナム産の切り花について市場開放を決定するなど、相互の市場アクセスが拡大したことを歓迎しました。両国は、農産物、水産物、林産物の双方向貿易を円滑化し、技術協力の継続を可能にするため、農業・環境分野における協力覚書が締結されたことを歓迎しました。

7. 両国首脳は、観光、ビジネス、人的交流における連結性を促進するため、ベトナムとニュージーランドを結ぶ直行便の開設を奨励しました。また、次の段階における経済協力と人的交流の発展にとって、航空連結性の強化が重要な意義を持つことを確認しました。

防衛・安全保障協力

8. 両国は、相互理解の深化、ハイレベル代表団の交流、戦略対話、訓練・能力向上、海軍協力、海洋安全保障に関する認識向上を通じ、二国間防衛協力を維持することの重要性を確認しました。また、ベトナムおよび地域における地雷・不発弾被害の克服と残存爆発物の処理に向けたニュージーランドの長年にわたる支援を確認しました。両国は、軍事分野の専門性を高める活動を含む戦略的・専門的分野で、引き続き協力機会を模索します。その中でも、平和維持分野の協力に関する実施取決めが重要な成果として挙げられます。

9. 両国は、サイバー空間における脅威、麻薬密売、資金洗浄、人身取引、不法越境のあっせんを含む国境を越えた犯罪と闘うため、情報共有を促進することの重要性を強調しました。地域の安定に対する共通の約束を基礎として、両国は、ASEAN主導の枠組みにおけるベトナムとニュージーランドの安全保障協力を確認し、地域の強靱性を高めるために連携しました。両国は、次官級防衛政策対話の継続と次官級安全保障対話の設置を歓迎し、これらが共通の安全保障上の課題に対処するための重要な枠組みであることを強調しました。両国はまた、ジャカルタ法執行協力センター(JCLEC)が実施する、メコン地域、特にベトナムにおける国境を越えた犯罪および重大な組織犯罪の防止・対策訓練に対する新たな資金提供を歓迎しました。

10. 両国は、海洋における複雑な課題に対処するため、海洋ガバナンスに関する対話を継続することを歓迎しました。また、知識の共有、能力向上、協力・商業双方の取り決めにおける先進海洋技術の活用を通じ、民間海洋協力を強化することを約束しました。両国は、海洋状況の認識および監視に関する協力を拡大したいとの共通の意向を表明しました。

地域・国際協力

会談前に並ぶトー・ラム書記長兼国家主席とニュージーランドのシンディ・キロ総督
会談前に並ぶトー・ラム書記長兼国家主席とニュージーランドのシンディ・キロ総督

11. 両国は、開かれ、透明性が高く、強靱で、包摂的かつルールに基づく地域構造を維持するうえで、ASEANの中心性、ならびにASEANとASEAN主導の枠組みが果たす重要な役割を改めて確認しました。こうした地域構造は、地域のパートナーによる対話と協力の促進、国際法の尊重、すべての国の主権と利益の保護に寄与します。両国は、ASEAN共同体の平和的、包摂的かつ持続可能な発展に向け、メコン地域を含む小地域の発展を促進するASEANの役割を強調しました。両国は、共通の関心分野においてASEANと太平洋諸島フォーラム(PIF)の協力を促進し、今後、この関係をさらに発展させることで一致しました。

12. 両国は、国連憲章と国際法を基盤とする多国間主義およびルールに基づく国際体制に対する強い約束を改めて確認しました。また、1982年の国連海洋法条約(UNCLOS)が、すべての海域および海洋におけるあらゆる活動に適用される包括的な法的枠組みであることを強調し、海洋に関する主張はUNCLOSに合致しなければならないことを改めて確認しました。

13. 両国は、安全で円滑な海上交通路、航行および上空飛行の自由を確保すること、ならびにUNCLOSに定められている通り、国際法に従い、国際航行に使用される海峡を船舶と航空機が安全、継続的かつ妨げられることなく通過できることの重要性を強調しました。

14. 両国は、南シナ海における情勢の進展に深刻な懸念を表明しました。また、南シナ海における関係国の行動宣言(DOC)の全条項を完全かつ効果的に履行することの重要性を改めて確認しました。両国は、南シナ海行動規範(COC)交渉の進展を歓迎し、COCはUNCLOSを含む国際法に合致するとともに、COCに参加しない国を含む各国の権利と利益を損なうものであってはならないことを確認しました。

開発・気候協力

15. ニュージーランドは、ASEAN・ニュージーランド対話関係の調整国としてベトナムが積極的な役割を果たしていることに謝意を表しました。両国は、対話関係樹立50周年を記念したASEAN・ニュージーランド首脳共同ビジョン声明、およびASEAN・ニュージーランド包括的戦略的パートナーシップ実施行動計画(2026~2030年)を効果的に実施し、ASEAN・ニュージーランド包括的戦略的パートナーシップを促進するため、より緊密な連携を強化することを歓迎しました。両国は、2026~2030年行動計画の枠内における実質的な協力を促進するとともに、ASEAN共同体ビジョン2045および同ビジョンの戦略計画の実施を支援するため、ASEAN・ニュージーランド・ビジョン基金が運用を開始したことを歓迎しました。

16. 両国は、質の高い人材の育成と能力向上における協力が、数十年にわたり両国関係の基盤を成してきたとの認識で一致しました。この協力は、奨学金制度のほか、経済の強靱性、気候変動対応型スマート農業、災害リスク管理を強化する協力を通じて実施されており、その中には、災害管理における人道支援のためのASEAN調整センター(AHAセンター)に対するニュージーランドの支援も含まれます。ベトナムは、強靱性の向上と気候変動への適応に関する共同イニシアチブをニュージーランドが引き続き支援することを歓迎しました。これには、国際農業研究協議グループ(CGIAR)のアジア・メガデルタ・イニシアチブ、およびニュージーランド第一次産業省が実施する気候変動対応型スマート農業に関するASEANイニシアチブへの関与を、ニュージーランドが改めて表明したことも含まれます。これらのイニシアチブは、健康的な食生活の普及を拡大し、気候変動に強く、排出量が少なく、生産性の高い作物品種を今後開発するというベトナムの国家プログラムを支援します。

17. 両国は、パリ協定の目標を実施するとの約束を改めて確認するとともに、温室効果ガスの排出を削減する緊急の必要性を強調しました。両国は、農業温室効果ガスに関するグローバル研究連合を含む共同イニシアチブを支援し、排出量実質ゼロの経済への移行を加速する取り組みを支援することを約束しました。

教育・人的交流

18. トー・ラム書記長兼国家主席とラクソン首相は、教育、観光、ビジネス、文化、地域社会におけるつながりの拡大に表れている、両国民の間の発展を続ける関係を歓迎しました。両国は、ニュージーランドのベトナム人コミュニティーによる貢献と、両国の機関、企業、若者の間で拡大しているつながりを確認しました。両国はまた、トラック2外交における緊密な協力を歓迎し、双方の研究機関による定期的な対話を促進しました。

19. 両国は、人的交流、特に教育分野における交流が、両国間の長期的なパートナーシップの重要な基盤であることを改めて確認しました。両首脳は、学生交流、奨学金、共同学術プログラム、高等教育機関間の連携が拡大していることを歓迎しました。

20. 両国はまた、マナアキ・ニュージーランド奨学金プログラムおよび新たに開始されたASEAN・ニュージーランド対話関係奨学金プログラムを含め、奨学金の数が増加したことを歓迎しました。ニュージーランドは、研修プログラムの実施、主要な教育機関で学ぶベトナムの幹部・職員への奨学金の提供、国際専門家のベトナムへの招へいと教育活動、ならびにベトナムの「89号プロジェクト」の枠内における研究者の受け入れを通じ、ベトナムの人材育成を引き続き支援することを約束しました。

21. 両国は、ベトナム教育訓練省とニュージーランド教育省の間の教育協力協定が延長されたことを歓迎しました。この協定は、両国の人材に関する変化する優先課題に対応するため、協力対象を職業教育および技術教育分野へ拡大し、二国間の教育協力を刷新するものです。

22. 両国は、ベトナム・ニュージーランド包括的戦略的パートナーシップの発展の見通しに確信を表明しました。また、共通の優先課題を推進し、両国民に実質的な利益をもたらすため、定期的なハイレベル交流を維持することで一致しました。