ベトナムと中国間のQR決済システムが正式に稼働を開始しました。初期段階では、ベトナムを訪れる中国人観光客を対象に、VIETQRGlobalを介した決済が可能になります。ベトナム人利用者が中国で決済する双方向決済は、関係者間の計画に基づき2026年から展開される予定です。
協力へのコミットメントからインフラ接続へ
12月2日、ハノイにおいて、ベトナム国家決済株式会社（NAPAS）が、ユニオンペイ・インターナショナル（UPI）、中国工商銀行（ICBC）、ベトナム対外貿易商業銀行（Vietcombank）と共同で、ベトナムと中国間のQRコードによる二国間小売決済接続の発表式を開催しました。
このイベントは、4者間の協力による技術的展開期間を経て、サービスが正式に市場に投入される瞬間を記念するものです。このサービスは、両国間の観光客や住民が移動、消費、取引を行う際の決済ニーズに応えることを目的としています。
発表会での情報によると、2024年10月、中国の李強首相のベトナム公式訪問中、両国首相が見守る中で、UnionPayとNAPASは、QRコードによる国境を越えた決済サービスの実施に関する協力覚書に署名しました。
その後、UPI、NAPAS、そして決済銀行であるICBCとVietcombankの4者は協力協定に署名し、ベトナムと中国間のQRコードによる二国間小売決済接続の実施について合意しました。技術的な展開期間を経て、このプロジェクトは完了し、市場への提供準備が整いました。
双方向決済の展開計画
ベトナム国家銀行（中央銀行）決済局のファム・アイン・トゥアン局長は、初期段階では、サービスはベトナムへのインバウンド（Vietnam inbound）を対象に展開されると述べました。これにより、中国人観光客は、商業施設、ショッピングエリア、観光地、レストラン、小売店など、ベトナム国内の決済受付拠点でVIETQRGlobalコードをスキャンして決済できます。
決済ネットワークに参加する小売・サービスシステムには、セントラル・リテール・ベトナム・グループ傘下のスーパーマーケットチェーン、ハイランズ・コーヒーのチェーン店、サン・ワールド（Sun World）エコシステムに属する各施設などが含まれます。
計画によると、2026年初頭には、NAPASとUnionPay Internationalが逆方向（ベトナムからのアウトバウンド、Vietnam outbound）の接続を完了する予定です。その際、ベトナムの利用者は、NAPAS会員組織の決済アプリケーションを使用してQRコードをスキャンし、中国国内のUnionPayネットワークに属する店舗で決済できるようになります。
双方向の展開により、両国間に完全な国境を越えたQR決済エコシステムが形成されることになります。
国家銀行の代表者によると、二国間小売決済の接続は、ベトナムと提携国との間の貿易と観光の促進に貢献しています。
ファム・アイン・トゥアン氏は、「ベトナムと中国間のQR決済接続プロジェクトは、2025年に待ち望まれていたプロジェクトの一つです。年末に正式にサービスが稼働したことは、今年の決済分野における重要な節目と見なされます。ベトナム人利用者が中国で決済する方向については、2026年第1四半期に展開される予定です」と述べました。
国際決済接続の強化
国家銀行のデータによると、2025年最初の9カ月で、ベトナムは1,540万回以上の国際観光客を受け入れ、これは2024年の同時期と比較して21.5%増加しています。中国は最大の送客市場であり、約390万回の訪問者数で、同時期から43.9%増加しています。これらの数字は、国境を越えた決済ニーズが現実的であり、増加していることを示しています。
UnionPay Internationalのラリー・ワン副社長兼総経理は、ベトナムが中国にとって重要な経済・貿易パートナーであり、主要な観光地であると評価しました。
UPIの代表者によると、国境を越えたQR接続プロジェクトは、自国通貨（現地通貨）による決済メカニズムを活用しています。
NAPASのグエン・クアン・ミン総経理は、国家銀行の指示の下、NAPASはベトナムと地域諸国との間で国境を越えた決済ソリューションを開発するために、国際接続を積極的に展開してきたと述べました。
グエン・クアン・ミン氏は、「ベトナムと中国間のQRコードによる二国間小売決済の接続は、NAPAS、UPI、および銀行間の緊密な協力の成果です。このサービスは、両国民にシームレスで便利な決済体験を提供するだけでなく、金融接続を強化し、国境を越えた決済における自国通貨の使用を促進し、両国間の貿易、観光、より広範な経済協力を発展させるのに貢献します」と述べました。
このプロジェクトでは、関係者が協調的で安全かつ国際標準に適合したデジタル決済インフラを共同で展開しました。このプロジェクトの目標は、貿易と観光の交流が引き続き発展する中で、両国の利用者に迅速かつ便利な決済手段を提供することです。
NAPAS 247の即時送金取引に適用されているVIETQR標準を継承し拡張する形で、2025年初頭からNAPASは技術標準セットをアップグレードし、国内小売決済取引のQRコード決済サービスを標準化するとともに、国境を越えた決済取引を促進するための基盤を構築しました。QRコードによる国境を越えた決済サービスのロードマップでは、国際観光客がベトナムに来た際に、ベトナム国内のQR決済受付拠点を容易に認識し、迅速かつ便利に国境を越えた決済取引を行えるよう、「VIETQRGlobal」が正式名称として選ばれました。
